移住5年目!山口県への移住者を増やす方法を考えてみた

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NPO法人ふるさと回帰センターが「2017年移住希望地域ランキング」を公開したとのニュースを読みました。

彼らの調査と、実際に山口県にIターンした筆者の経験を踏まえて、現時点で山口県が抱える問題と、移住者を増やす為には何をすべきなのかを考えてみました。

山口県のランキング推移

2009-2017移住希望地ランキング  (以下、統計画像の出典は全てこのpdfです)

上記のpdfによりますと、2011年までは上位20位のほとんどが東日本でした。

東日本大震災以降の年は、ほぼ半分以上が西日本となっております。

ということで2012年以降の結果で考えると、山口県は以下のように推移しています。

2012 19位
2013 13位
2014 15位
2015 13位
2016 圏外
2017 14位

2016年は何があったんでしょうね。

まぁ大体13位~15位をうろうろしている感じです。

2017年のUJI孫ターン別ランクの考察

まずは用語説明

Uターン 地元から一旦都会に出て、その後、地元に戻って定住すること
Jターン 地元から一旦都会に出て、その後、地元に近い都市部に定住すること
Iターン (主に大都市圏の)地元から離れて地方に移住すること
孫ターン 祖父母が住む地域に定住すること

「孫ターン」はこの記事で初めて聞きました。いろいろあるんですね。

ちなみに筆者は千葉県で生まれ育ち、山口県に「Iターン」しました。

年代別UJIターン希望者の割合

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さて、こちらの表を見ますと、全ての年代で半数以上がIターンを希望しています。2番目に多いのがUターン、続いてJ、孫、複数回答の順です。

Uターン希望者については、そもそもその土地で生まれ育っているので、一旦よそに引っ越したけどやっぱり地元がいいなぁ、と思ってる人がどの年代も一定数いるということ。まぁ当然と言えば当然ですね。(20代以下がやけに多いのは都会で心折れた若者が多いんですかね…)

それに対して、どの年代もIターン希望者が多いというのは、大なり小なり「地元を離れたい」と思っている人が多いということ。

現状では、進学や就職で田舎から都会に出るのが一般的な為、Iターン希望者の大半は都市部で生まれ育ち、地方に移住したいという人がほとんどでしょうね。

Jターンが少ない理由は、単純に地元に近い都市圏に戻るのであれば、地元でいいんじゃない?と考える人が多いんだと思います。

UJIターン別移住希望地ランキング

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上記を踏まえてUIJ孫ごとの希望地ランキングを見てみましょう。

我が山口県はUターン、孫ターンではトップ10圏内に入っていますが、Iターン、Jターンではランク圏外です。

「やっぱり地元がいいなぁ」と思っているUターン希望者と「じいちゃん/ばあちゃん家の地域はいいところだなぁ」と思っている孫ターン希望者はそれなりにいるということですね。

I、Jがランク圏外なのはなぜでしょう。

山口県にはJターンを見込める要素がない

希望者の割合から見ても、山口県はJターン希望者層の獲得に関しては、そこまで気にする必要はないと思いました。

なぜなら、言い方キツイですけど山口県には都市部がほぼ無いに等しいからです。

県内の都市部は「相対的な都市部」なので、下関を筆頭に岩国、宇部、萩、防府あたりが「都市部」という認識はありますが、あくまでも「他のところに比べたら都市部」というだけなので、その栄え具合は全国的に見るとだいぶしょぼい…

千葉県出身の筆者から見ると、下関≒神奈川県鎌倉市、岩国≒千葉県習志野市、宇部≒千葉県市原市、萩≒埼玉県所沢市、防府≒千葉県千葉市若葉区、ぐらいの栄え具合に見えます。(これでもちょっと盛った感がある)

引き合いに出した都市が栄えてないと言いたいわけではありません。これらの都市はどちらかと言えば観光都市、工業都市、もしくは住宅街であり、オフィス街やショッピング街ではないと言いたいのです。

また、山口県内は基本的に空いてるので、Jターンで地元の近くの都市部に移住したとしても、体感的には地元に住むのと大差ないと思うんですよね。何というか、山口県民になると通常の行動範囲が広がるんですよ。

例えば、岩国市民が山口県内で「遠いな」と感じるのは、たぶん徳山辺りから西で、下関市民が山口県内で「遠いな」と感じるのはたぶん山口市辺りから東です。距離で言うと50~60kmぐらいは行動範囲内ということになります。

筆者もよく隣町まで買い物(食料品や日用品)に行きますが、片道20~30kmぐらいは普通です。「休日だから都会()にお買い物行こう!」という時に50~60km、「たまにはちょっと遠出しようか」という時で100kmぐらいですね。

Iターン希望者は山口県の何を見る?

リタイヤ世代と「山口でやりたいことがある」という強い意思をお持ちの方以外の総意は「仕事があるかどうか」だと思います。

Iターンということは、その地にコネもゆかりも無いパターンがほとんどで、起業家もしくは土地を選ばない職業の方なんかほんの一握りです。

大多数が「Iターンしたいけど、いい仕事がないから決断できない」状態じゃないですかね。

地方への移住と言うと、「都会で営業やってたけど、地方で農業や漁業に挑戦したい」みたいなものすごい転職パターンが自治体の広報などで取り上げられがちですが、大多数は今現在と同じような職種や未経験でも可能な仕事を探しているんじゃないでしょうか。

少なくとも筆者は山口に移住する時に「仕事どうしよう、これを機に農業や漁業に挑戦したいな!」とはなりませんでした。

「知らない土地で慣れるまでいろいろあるだろうから、仕事だけでも出来るだけ負担のかからない同業の職種に就きたいな」と思っていました。

だから移住支援団体のセミナーや行政のあっせん情報ではなく、普通に都市部で仕事を探すのと同じように、ハロワや求人情報サイトで山口県の仕事を探していました。

たぶんこういう流れの方が移住のハードルが下がるんじゃないでしょうか。

山口県が抱える就職に関する問題

都市部での仕事探しと同じような心構えで山口県内の求人を見ると、その時点でかなり心が折れてきます。

理由その1:給料が安い

地方なので、どの会社も都市部に比べてはるかに低賃金です。

もちろんその分物価も安いから即座に貧乏になるわけでもないんですが、都市部で長年生活してる人ほど不安になる金額なのも理解出来ます。

参考までに、最新データである2018年10月時点での山口県の最低賃金は時給802円ですが、一般的に常時募集がかかっているパート・アルバイトの賃金(時給)は大体最低賃金ラインです。それ以上の時給ももちろんありますが、そういう求人が出てくるまで「待ち」になることが多いと思います。

理由その2:そもそも求人が少ない

人口が少ないので当然会社も少ないです。

もし正社員狙いなのであれば、尚更求人が少ないと思って間違いありません。

理由その3:職種が偏ってる

山口県は基本的に1次産業と工業が盛んなので、募集要項の応募資格にクセがあります。

例えば、経験者のみの募集に加えて玉掛・クレーンや溶接などの資格が必須だったり、工業高校卒業者のみの募集がかなりの割合であります。

都市部の大半の人は普通科の高校や大学に進学してると思うので、こういう資格はなかなかお持ちでないと思います。

で、上記のような工業系資格持ち以外の求人は総じて給料が安いです。都市部のバイト以下レベルです。

さらに、都市部で一般的であろうSEやプログラマーなどのIT系、オペレーター系やクリエイティブ系のような職種はほとんどありません

こうなると都市部出身の方は一気に「仕事がない」になってしまうと思います。

現時点での山口県の方針はこんな感じ

山口県の村岡嗣政知事は、平成30年にまち・ひと・しごと創生担当大臣が開催する「わくわく地方生活実現会議」の委員に就任なさっています。

その第4回会議(平成30年4月11日開催)で村岡知事が提出した資料がこちら

気になったのが以下の内容

  • 1次産業推し
  • 起業推し
  • 女性と高齢者の就業推し

そして移住者を増やす為に「都市部の若者が地方での生活がイメージ出来るよう意識改革を」「地方にも若者が活躍出来る場があることが伝えよう」という取り組み方向。

知事まってまって!!若者が活躍できる場とか無いやん!

若者がやりたい職種が県内にあれば、毎年20代以下の転出率が突出してるわけないのよね。

県外の大学に進学して、そのまま他県で就職するパターン、もしくは県内の学校を卒業した後、やりたい仕事が県内にないから他県で就職というパターンが多いから、20代以下の転出率が高いんじゃないでしょうか。

まず、「若者」でひとくくりにしてるけど、山口県にある企業の特性と全年代のIターン希望者の割合を考えたら、年代よりも職種で考えなきゃいかんと思うのよ。

それでも「若者」で考えたいなら、安定志向と言われる彼らに1次産業推しや起業推しはちょっと違うような…。

どうしても今ある山口県内の仕事に合わせたいなら、1次産業は給料を上げないと誰も来ないと思う。初めて社会に出る若者や、まだ社会に出て5年ぐらいの20代で、自然相手に給料が変動する仕事で頑張ろうという人は少ないんじゃないかな。

山口県が移住者を増やす為にやった方がいいのはコレ!

災害の少なさ、インフラの良さをアピールして企業誘致を

村岡知事の資料の中でも「地方分散を進める」とある通り、移住者に起業してもらうよりも、大会社のバックアップ支店を誘致の方向で頑張った方が移住者の人数見込めないでしょうか。

物流などで距離的な制約が必要じゃない会社や、テレビ会議などで本社と連絡とれれば成立するような業種(在宅ワークが出来る職種等)の会社で、本社が東京や大阪などの大都市にある会社に支店を置いてもらいたいです。

東日本大震災以来、東北以外でも新潟、長野、熊本、鳥取などいろんなところで地震があり、災害に対する意識はかなり高まっていますよね。

山口県は日本屈指レベルで災害の少ない県です。(東部なら尚更)

人が少ないので土地もいっぱいあります

新幹線も5駅あります。空港も2つあります。高速道路めっちゃ空いてます

バックアップ支店の立地としてかなりの好条件だと思いますよ!

もし企業誘致に成功すれば、職種のバリエーションが増えるので、地元から就職を希望する人や、県外の普通科系の大学に進学した学生が、就職を機に山口に帰って来れるんじゃないでしょうか。

歴史じゃなくて海を推せ

維新150周年の2018年に言うのも気が引けますが、山口県は県内出身の偉人に頼りすぎです。

筆者も歴史は好きだし、世の中的にも幕末は人気なのでわからんでもないんですが、歴史絡みの物って基本的に「資料集扱い」なので、その場に見に行って「ほぉ~」ってしておしまいだと思います。

観光地として推すのにも幕末のみだとターゲットがかなり絞られるし、この地にこんな歴史があるから住もう!という発想にはならないかな…

そこで筆者が考える、観光面でも移住面でも「都市部の人に響く」もの

それは「海」です。

県の3方向が海に囲まれてるので山口県民にとって日常すぎる「海」ですが、そんな山口県民には、ぜひ一度東京湾を見てきてほしい。(首都圏の方すいません)

筆者は初めて山口の海を見た時、「本州にも青い海、白い砂浜ってあるんだな!」と思いました。

TVでもタレントさんが山口の海を見ると高確率で「下(底)が見える!」と言いますが、筆者も移住してしばらくは、海を見る度に同じこと言ってました。

沖縄に勝てるのかと言われれば微妙ですが、近いところまで並べるとは思います。

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こちらは今ではもう割と有名になった角島大橋(下関市)

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こちらは東部、上関(かみのせき)の海。ちなみに防府市に中関(なかのせき)という地名もあります。

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こちらは周防大島の海。「瀬戸内のハワイ」と言い張ってる島です。車で行けます。

ね、県の3方向が海なので海水浴場とかそこらじゅうにあるんですが、大体こんなんです。

海水浴シーズンでも絶対沖縄とかより空いてますよ!

「人が少ないキレイな海」のすごさは都市部の人ならわかって頂けると思います。

とにかく人がいないので、ふら~っと海行ったら本当にこんな感じの景色です。

もちろんこれだけ海があれば水産物も安くておいしいし、釣り人口が多いので会社の同僚や近所の人からも結構魚が届きます。(山側は山側で野菜のおすそわけとか猪肉が届いたりします)

これで仕事さえあれば移住を検討する方も増えるんじゃないでしょうか。知事!頑張ってー!