オフトナイズ式「逃げの移住」完全ガイド

レファレンス能力の高い人を無償で使い倒しても当然、という風潮に疑問がある

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レファレンス」の価値について考えさせられるツイートが流れてきたのでいろいろ考えてみた。

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事の発端ツイート

元ツイートが非公開になってしまったので顛末を要約すると、「こういう情報が載っているような本を探してほしい」と書店で相談したけど冷遇されたので、図書館で司書に相談したら解決。→そういう相談は本来図書館の司書の仕事なので、本屋の販売員に相談されても困る、という話。

書店の販売員さんは、目的の本のメーカーや著者、タイトルの一部でもわかれば、在庫を探したり注文したりは出来るけど、あくまでも「販売員」なので、専門知識を必要とするであろう本の内容についての相談までは守備範囲ではないんだろうね。

一方、私は司書ではないので、実際にどういうプロセスで本を探すのかは全然わからないんだけど、想像するに司書の方は「あの著者の本/タイトルにこういったキーワードが含まれてる/このジャンルの蔵書なら〇〇について書いてあるだろうな」という一定の知識を持っている状態、言わば司書さんの頭の中では図書館中の全ての本にそれぞれいろんなハッシュタグがついていて、それを相談内容に合わせてピッと引っ張って来れる能力をお持ちなのだろう。

このような相談に乗って本を探したり、疑問質問に答えてくれるサービスを「レファレンスサービス」と呼ぶ。

このサービスが仕事の1つである「司書」。専門職であり、国家資格が必要な職種である。

司書さん、有能な専門職なのに薄給の様子…

司書さんのレファレンスサービス、要するに「本に特化した歩くGoogle」といった超優秀なスキル持ちの職人芸ということがおわかりかと思うが、司書さんについていろいろ見てみると、とにかく「薄給」ということが気になる。

生活が成り立たないぐらいの給料なので辞めてしまう人も多く、人手不足にも陥った結果、図書館自体の民間委託話も出るぐらい司書さんの業界は厳しいようだ…

司書さんのレファレンスサービスに感動する声は定期的にTwitterでも見かけるが、「本に関してはGoogle以上にかゆいところに手が届く職人」ということがあまり知られていないんだろうね。

私もよく知らなかった。()

神奈川県立図書館の中の人がマジで図書館超人

ちょっと本筋からそれちゃうんだけど、「レファレンス協同データベース」って知ってる?

ちょっと↑の回答見に行ってみて。すごいから。

神奈川県立図書館の司書さんはそもそも大ベテランなんでしょうね。質問に対しての回答が載ってそうな本を10冊以上提供し、このページにこう書いてある、まで回答する検索の鬼。

私はこのツイートで初めてそのデータベースを知ったんだけど、簡単に言うと、司書のスーパープレイまとめサイトだった。

司書さん珍プレー好プレー集

レファ協めっちゃ面白いので、いくつかレファレンス事例をご紹介。

「優等生」神奈川県立図書館

先ほどのツイートでスーパープレイを放った神奈川県立図書館は優等生プレイヤーらしく、上記の他にも「掛け算の九九の一の段で1×1を「いんいちがいち」と言うが、なぜ「いん」と読むか。
その由来を知りたい。また、他の用法で「いん」を使うことがあるか。
」とか、「『オロロン オロロン オロロンバイ』という歌詞の意味を知りたい。高倉健が歌っていた。」の調べっぷりがすごい。「『日本国語大辞典4おはーかつほ』<813.1/16/4 常置>(11832011)を念のため調べてみたところ、「おろろんばい」の項があった。」で草。一旦基本に立ち返る念の入れよう。

昔の地元、千葉県立中央図書館

千葉に住んでいた時の最寄だった千葉中央図書館は「”三本締め”、”一本締め”、”一丁締め”のやり方と使い分けについて知りたい。」というお題に答えていた。

私、前に英語版の方で三本締めの記事書いてたのでびっくりしたわ。なんだ?千葉県民は三本締め気になるのか?

子供に強い蒲郡市立図書館

愛知県の蒲郡市立図書館では、子供のほっこりレファレンスがたくさん掲載されている。

中でも気に入ったのは「にがいおにくの絵本がよみたい。4歳男の子より。」と、「3歳くらいの子が読めそうな「おぶう(お茶)」の本はあるか。」。

「にがいおにくの絵本」は結局「ぶつくさモンクターレさん」という本だったらしいんだけど、10冊以上候補を出して苦労の末の解決。最終的に「ぶつくさモンクターレさん」の内容を確認しても「お肉がにがい」とは言ってなかったらしいんだけど、男の子が表紙を見て「コレや!」ってなったらしい。

そして「おぶう」の方は、まさかの「おぶう読みたい」ではなく「おぶう飲みたい」でした。というほっこりオチ。お母さんも聞き間違えるぐらいなので相当「読みたい」に近い発音で訴えてたんだろうね。

「言いまつがい」の伊丹市立図書館

ここはとにかく言い間違い、記憶違いのレファレンスを登録しまくる図書館。

『むちむちのき』はありますか。」とか「『おばけのばくろん』はありますか。」みたいなやつね。それぞれ「モチモチの木」と「おばけのバケロン」が正解だったそうな。

Googleで言う「もしかして:〇〇」のスキルが高いんでしょうね。もっと全然ヒントが少ないやつでもちゃんと正解をひねり出せる司書さんすごい。

自由人が多すぎて部外者なのにちょっとイラっとしてしまう

伊丹市立図書館のレファレンス例をあれこれ見てるうちに、だんだんとストレスが溜まってきてしまった。というのも、よくそんな雑な記憶で本探そうと思ったな、と思う人が多い

やなせたかし『ひつじのチン』はありますか。」→「やなせたかし『チリンの鈴』でした」、ぐらいまではまだ笑って終われる。「ひつじ」はどっから出てきたんやー、とか一通りツッコんでしまいのやつなんだけど、「『偏差値40 慶応 合格』みたいなタイトルの本はありますか。」ぐらいから「ん?」と引っかかってしまう。そんな検索ワードみたいな聞き方出来るんやったら図書館の端末で探せるやろ…と思ってしまうのだ。普通にスマホ使う人なら、それプラス「本」でググれば普通に見つかったであろう案件。そこまでワード絞れてるのに他人に時間を使わせるとは…!ってなっちゃうのよ。我ながらうっとうしいやつだとは思う。

そのレファレンス回答にも載ってるけど、

Googleに allintext:偏差値 慶応 合格 isbn と検索すると、出版社HPや書店HPがヒットします。

こちらは、図書館所蔵かわからない本、特に出版から間もない本を探す場合にオススメの検索方法です。

雑誌の場合はisbn ではなく、issnを使います。

https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000204336

わざわざこうやって検索方法まで書くってことは、同様のレファレンスをしょっちゅうやってるんじゃないかね。

プロの人の使い方に対する違和感

司書さんは資格が必要なぐらい有能な人しかなれないわけだけども、そのレファレンス能力ってもっと高度な使われ方をするのが本来の資格能力なのかな、って思うんだ。

例えば、「〇〇について知りたい」、に始まり、学生さんの研究や論文のテーマに役立ちそうな本を一緒に探してくれるとか、この分野だったらこういう関連の方向の本も読むといいよ、とかさ。少なくとも「物忘れの思い出し屋」じゃないんじゃない?私は司書じゃないので細かい業務内容はよくわからないけども。

伊丹市立図書館のレファレンス利用者で特にイラっときた①がコレ

スイスの精神科医のマドラーさんが書いた本ありますか。
こないだテレビで見たんですよ~

中の人がやり取りの様子をそのままレファレンスに登録してくれたので、どういう状況だったのかよーくわかる。

テレビでよく特集されている心理学のアドラーさんに似ているお名前だったため、アドラーさんに似てますねぇ~と確認しましたが、「マドラーさん^^」とのこと。

わかる!なぜか間違えて覚えてる人ほど自信持ってる現象。

中の人も下手に否定しちゃうとまずいので、とりあえず「マドラー」で図書館の蔵書を調べて見つからず、コトバンクで「マドラー」という人名があるかどうかを確認してやっぱりないので、オーストラリアの心理学者アドラーのコトバンクを「スイスではないのですが…」と見せたら「この人やわ!」だってよ。「やっぱアドラーやんけ!!!!」ってなったでしょうね。お疲れ様です。

イラっときた②はコレ

前にコピーをとった魚の本をもう一度見たい。
タイトルは覚えていない。
2年ほど前に本館の3階で見て、その時に白黒コピーをした。
もう1回読まないと帰れない。

1行目から順に、

  • コピーとったとか知らん
  • 探す気あるんか
  • コピーした時の詳細はしらん
  • しらんがな

これどういう感じで質問してきたんやろ?ほんまに読みたいんか?と思うレベル。誰かに脅されて来たとかじゃない限り絶対イラっとするわこれ…。それよりも、この質問の仕方でよく目的の本が見つかると思ったね。司書さん的には「2年前に3階にあったであろう魚の本」しかヒントが無いからねコレ。

この状態から司書さんが奮闘したくだりがこちら。

■前にコピーをとったものを見せてもらった。
縦27センチ程度でコイ亜目と表記されている金魚のページだった。
拡大印刷したとしても字が小さめ。
漢字にふりがなつき。
ここ数年の出版物でよく見るフォントというよりは、古い出版物のフォントという印象を受ける。

■3階の本、とのことなので一般書の400動物学、480魚類、640漁業をブラウジング。
件名:魚類で検索。
貸出中の本はないため、開架か書庫にある本を130冊ほど、27センチ以上の本を全て確認したところ、該当する本がなかった。

■2階の本では絶対にないとのことでしたが、2階の参考図書を確認したところ該当の本が見つかった。

これコピーしたものを持ってたからまだマシやったけど、手ぶらで来てたらもっと迷宮入りしてたよコレ。結局130冊以上確認した司書さんには本当に頭が下がるけど、トドメの腹立ちポイントは「2階の本では絶対にない」っつってて結局2階の本だったことね。3階にあったって確信があったんだろうけど、それ2年前の情報だからね!!!!!!毎日誰かしら利用者のいる図書館全ての本が毎日同じ場所にあるわけないから!!!

司書の皆様、毎日本当にお疲れ様です。

なんで「人をアテにする勢」の存在がこんなにも腹が立つのか

思い返せばすんごい個人的な理由だったよ。私の母親がこのタイプだった。

たぶん私があまりに不機嫌になる+相手にしなくなったから今ではほとんどやらないけど、学生時代は酷かった。

1日何回クイズ大会をふっかけられたことか。

「あっ、この人なんだっけ!あのドラマに出てた…」

「この間あそこでさ、えーっと、あのーいつも行くパン屋の近くにある…」

「あんたが3年生の時に替わった、あのルールなんだっけ…」

とにかくジャンル問わず何でも聞いてくる。突然始まるクイズ大会。酷い時は、「あのー、ホラあの人よ、割と背が高くてメガネの、娘も役者でこの間〇〇と結婚した、あのー」って感じでこっちが答えるまで延々とヒントだけ出してくる状態だった。そこまでわかってるならもう思い出せてるよね?ってぐらいヒントしか出さない

ここからは私の性格上の問題だけど、この手のクイズ大会が始まると、

  • 正解が思い出せなかったら私が悪いみたいに感じる
  • 途中で正解がわかっても、あえてこっちに言わせようとしてるように感じる
  • 自分が忘れたせいなのに「ホラ答えてよ!」という態度が腹立つ
  • 思い出せなかったら気になってずっと考えてしまう
  • 自分にとってはどうでもいいことのために一生懸命考えるのが疲れる
  • 今まで見聞きしたものを忘れてないか抜き打ちテストされてる気になる

ざっと思い出しただけでもこんな感じなので、大変なストレスだった。結果的に、私が知らなかったことを言わせようとしてたこともあるので、一生懸命考えても無駄なこともあった。考えても考えてもわからなくて、奇跡的に母親が思い出した正解を聞いても「いやそれ初めて聞いたんだけど…」ってドッと疲れるあの感じ…

特に、大人になるまではとにかく「親の期待に応えないと死ぬ!」って割とマジで思ってたので、このやりとりが本当に嫌だった。

母親もそうだったけど、「人に聞いた方が早い」と遠慮なく口にする神経はいかがなものか。私は、自分の勉強不足や記憶力の悪さを棚に上げて、自分の物忘れを思い出させるために平然と「ホラ、こんだけヒントやるから早く答えてよ」、という態度を取ることにかなりの抵抗がある。

仮に、その人が即答出来なかった場合、他人を巻き込んで自分の物忘れを思い出させることだけに時間を使わせることになるわけだけども、私なら申し訳なさ過ぎて人には聞けない。

販売員って万能じゃなきゃいけないの?

話が最初に戻るけど、販売員ってそこまでなんでも出来なきゃいけないの?それなら、なんでアルバイトが多いの?給料安すぎない?

私自身、学生時代に販売系のアルバイトをいくつかやったことはあるけど、「アルバイトでも社員でも関係なく一定のスキルを身に着けてもらいます」ってノリのところはマジでびっくりした覚えがある。ほんなら給料と身分を同じにしてもらわないと割に合わないよ。

唯一、社会的にも会社的にも全体的にキッツイなぁって思ったのが、ホームセンターの店員。私が学生時代にバイトで入ってた店は、社員は5人ぐらいでアルバイトがその5倍ぐらい。アルバイトは基本的にレジか商品の補充しかしないので、どこに何があるかは把握してるけど、その商品の使い方までは知らないわけよ。社員は発注や商品説明などが出来るので、アルバイトはお客さんに商品について質問されたら社員を呼ぶ。

ここまではまぁわかる。問題は、ホームセンターの取り扱い商品ね。ホームセンターって洗剤とか工具とか日用雑貨とか資材とかいろいろありすぎて、社員に求められる商品知識が他より厳しいと思うんだよね。

「このハーブは育てやすいですか?どうやって育てるの?」「この電動工具の使い方がわからないんだけど」「店で売ってる自転車それぞれの違いは何?」「棚を取り付けようと思うんだけど、この部品買えばいいの?」「うちの水道に合うパッキン探して」「これとこれをくっつけるのに、どの接着剤をつかうべき?」

全部答えなきゃいけないわけよ。このふわっとした質問に。それと別に、「昨日TVで言ってたやつ売ってる?」「庭をアレするのに使うやつどこ?」みたいな、質問力ゼロの質問を山ほどさばくわけよ。

客から見れば社員とバイトなんて見た目で区別つかないだろうし、とりあえず店員を捕まえて質問すればいいやと思ってるだろうけど、そういう少し調べたり準備してくれば、自力でどうにか出来そうなことでも人をアテにする人たちと質問力の低さったらキレイに比例してるわ。せめて一発で答えられるように質問してほしい。「うちの洗面所の水道のパッキン探してて、径が〇mmなんだけどある?」みたいな。

で、社員はこれだけ広範囲の専門知識を求められるのに、たぶん司書のような国家資格はない。でも司書レベルのレファレンス能力だと思う。バイトの時点で覚え間違いの商品とか死ぬほど聞かれるので、いざと言う時にバイトからもアテにされてしまう社員はマジでキツイ。

どんどん話が戻るけど、司書さん共々、これだけの幅広い知識を持ってるのに「人をアテにする勢」にレファレンス能力を無料で酷使され、さらに薄給なのが不条理に感じてならない。(ホムセンの社員が薄給だったのかどうかはわからないけど、バイトの時給は安かったので少なくとも平均以上ってことはないのでは…)

私はバイトの立場だったけど、この「人をアテにする勢」が耐えられなくてすぐ辞めた。向き不向きでキツイと感じるかどうか差はあるだろうけど、私はレファレンス自体、お金とってやるべきサービスなんじゃないの?とすら思った。

まぁこれだけ書いてアレだけど、やっぱり単純に私が「無料相談」の類が嫌いなだけって気がしてきたな…。

質問が何であれ、「なんでわからないの?店員でしょ?」ってキレてくる人さえいなければ私もそこまで拒絶反応はなかったかもしれない。「オイ、庭のアレ。」って言われて「コレを探している」とわかるほど私は優秀ではなかったので。