いや、そんな不穏な話じゃないよ?(小心者)
先日発覚した、エーラス・ダンロス症候群(EDS)「疑い」のくだりで痛感したことを、厚労省にもお伝えしたかっただけなんだ。
エーラス・ダンロス症候群に関する他の記事はこちらからも見れます。
みんなが知ってるEDSはもういないのだよ
いや、みんな知らないからこんだけ苦労してるわけだけども。
EDSついて記事を書き始めて、だいぶ最初の方にさらっと言ったけど、EDSの病型は13タイプなのだよ。2017年の発表で、7タイプだったのが分類され直して13タイプになったんだ。
関節型関係しか情報を追ってないので、そこだけ説明するけども、旧分類の「関節型」と呼ばれていた病型では、関節型EDSの少数例のみにTNXB遺伝子等に変異が見られ、その他は不明の状態だったんだけど、分類し直した後はそのTNXB遺伝子等に変異が見られたタイプは「類古典型」として旧来の「関節型」から別の病型として切り離された。
その残った方は「関節過可動型」として分類され、EDSの中で唯一原因遺伝子が不明な病型となったわけよ。
で、原因遺伝子がわからないので、他の病型に比べてはるかに手のかかる(若干の語弊)診断基準が設定され、遺伝学的検査をしなくても臨床的に関節過可動型のEDSかどうか診断出来るようにしてくれたってのが2017年の発表。
これによって、関節型の症状をフルコンプしてるのにもかかわらず、遺伝学的検査をやってTNXB等に変異がみられないばっかりに関節型EDS「疑い」だった方々に診断がつけられるようになった。
実は理論値みたいなもん
何が残念って、コレ、現状ではカタログスペックみたいなもんで、実際の病院で関節過可動型EDSの診断が出来るようになったのかといえば、そんな病院はEDSに明るい医師が在籍しているごく一部の病院のみ。そして、そんな病院をもってしても、国に「あなたは関節型EDSです」とはなかなか認めてもらえず、医療費の助成制度の恩恵がほぼ受けられない状況になっている。
なんでそんなことになってるのか。
特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きに必要な臨床調査個人票の診断項目が旧タイプのままだから。
関節型EDSの臨床調査個人票(pdf)から抜粋したのがこちら↓
これのおかげでどうもならんのよ。
とりあえず、類古典型も関節過可動型も申請するときに使う臨床調査個人票はコレだけど、実質、類古典型の臨床調査個人票よね。関節過可動型が申請してもどうせ確定診断のところは「2.非該当」なんだもん。
現場レベルではどうなってるのか
私はhEDSの情報を持ってないと思われる病院で受診して、関節型EDS疑いで終わったわけだけども、ある意味こっちの方が診断的には「ねじれ」はないと思うんだ。
だって情報無かったら一番信頼性高そうなところから診断基準を探して、その基準にどこまで相当するかをプロとして判断する手順になると思うし。その一番信頼性高そうなところが厚労省お墨付きの難病情報センターだから妥当といえば妥当。
そのパターンじゃなくて、例えば、友の会に情報提供されてるような先生がいらっしゃる病院とかってどうなん?新診断基準の情報の信頼性も確認済で、その診断基準で診察しようとすると、遺伝子学的検査までしたらハッキリと類古典型と関節過可動型の診断に区別がついちゃうよね。
で、類古典型だった場合は臨床調査個人票が無く、関節過可動型の場合は、一応関節型の臨床調査個人票を使いそうだけど、臨床診断が下りてるにもかかわらず最終的に確定診断の項目は「非該当」。もし、そこの項目が「該当」ならその人は関節過可動型ではなくて類古典型だけど関節型として助成を受けることに。どういうこと?どうなるん?
友の会の中の人も言ってたけど、関節型の確定診断がつく人は少ないってそういうことなんだろうね。関節型で確定診断がついた人は、新基準だと類古典型の人だしね。(困惑)
結局、関節過可動型は最新の診断基準だと臨床診断しかつけようがないので、その辺をなんとか織り込んでもらいたいもんですな。
厚生労働省に直訴したい
そんなこんなで行き詰ったので、一応この状況を厚労省にもお伝えしておこうと思った。
難病関連の法律は厚生労働省の管轄、ということで厚生労働省の公式サイトを見に行ったところ、「国民の声」みたいなパブコメ的な問い合わせ窓口しか見つけられず、難病情報センターの問い合わせページも見に行ったんだけど、肝心の「指定難病一覧(概要、診断基準等・申請用臨床調査個人票)に関すること」の問い合わせ先である厚生労働省 健康局 難病対策課だけリンクがついてない…
ということで、難病情報センターに難病対策課宛の問い合わせフォームとかメールアドレスないですか?って問い合わせしたところ、なんと厚生労働省の代表窓口の電話番号だけ教えてくれたよ!ぎゃふん!
メールアドレスないわけないと思って、「厚生労働省 健康局 難病対策課 @mhlw.go.jp」で検索したところ、nanbyou22@mhlw.go.jpというメールアドレスがあるのを発見。今度は「nanbyou22@mhlw.go.jp」でググったら、こちらのページで「難病の患者に対する医療等に関する法律」の問い合わせ先としてこのメールアドレスが記載されているのを確認。どうやら難病対策課としてはこのアドレス1つをいろんな担当で共用してるようなので、こちらに問い合わせを出すことに。
問い合わせの内容
要点をまとめると、大体こんな内容のことを送った
- この度、関節型EDS「疑い」と診断されました
- 関節過可動型EDSの臨床診断が下りると踏んで受診したけど「関節型EDS疑い」で終了
- 友の会とかリンクついてるのに、難病情報センターのEDSの診断基準が古いままやで
- 臨床調査個人票の診断項目も古いままなので、ほとんどの関節型は助成が受けられないよ
- 最新の情報を持ってる病院ほど診断と臨床調査個人票に「ねじれ」が発生してるよ
まぁ正直、難病情報センターや臨床調査個人票の中身に関しては、厚労省でなんか裏付け取ったりなんなりしないとホイソレと変えられないんやろうから、要するに「コロナ禍で申し訳ないけど早めに対応してもらいたい」的な感じで送ってみた。
問い合わせを出した時点では、難病情報センターのEDSのページの情報更新日は令和2年8月になってたんよね。何を更新したのかはわからんけど、少なくとも「先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ研究班」の研究班名簿は令和2年度版になってるので、ここは更新されてるはずなんよ。
で、その研究班名簿の中には、友の会に新診断基準の情報を提供して下さった古庄知己先生の名前があるので、新診断基準の存在もすでに把握はしてるんじゃないの?とは思うんよね。ということは、何かしら臨床調査個人票に反映されない理由があるんだろう、というところ。
この情報は2017年に発表されてすでに3年経つので、そろそろ信頼性とか承認手順的なアレも終わっててほしい。ちなみに、EDSの最新情報が集まるEhlers-Danlos Support UKを有するイギリスのNHS(日本で言う厚労省に相当)は2019年1月頃に掲載内容が新基準に変わっている。イギリス政府も採用した情報なので信頼性に不足はないと思うよ。なのでお願いします。(ここで言う)
同志となる可能性が高い方へ
現時点で私と同様にhEDSっぽい症状がいろいろ出てて、悪化したりちょっと停滞したりを繰り返してる方、もし地方在住であれば一旦「待ち」という選択もありだと思う。もちろん症状のつらさによっては我慢することなく受診はしてほしいけども。
私のようにhEDSかどうかを確認しに行く場合、友の会関連の先生がいらっしゃったり、EDSに明るい先生が近場にいない場合は、遺伝学的検査をしてTNXB等に変異がみられない限りは私と同じ結果に着地する可能性が高いと思うので、それなら難病情報センターの情報が新基準になってから行った方が一発で済むのでは。
また、現時点で「関節型EDS疑い」の方も、臨床調査個人票が新基準に対応したタイミングで再度受診したら臨床診断下りるかもよ。
私はどれぐらいの期間でどこまで症状が悪化するかわからないけど、とりあえず今のところは各症状に対しては対症療法で出来る限りやりすごし、臨床調査個人票が新基準に対応したら改めて受診してみようかなと思ってます。
まぁまずは症状が悪化しないことに越したことはないけどね。お互いに身体、お大事にね。
おしまい