突然ですが、「McDonald’s(マクドナルド)」の綴りに疑問を持ったことない?
「D」が大文字、意味的には「マクドナルドの(店)」ということで、「Mc」+「Donald」+「’s」という綴りなんだな、ということは想像つく。
じゃあ「Mc」ってなんだ?
McDonald以外にもMcAfeeとかMcLarenとか苗字に「Mc」がついてる人いっぱいいるよね。
今回は、なんで「Mc」で始まる苗字がたくさんあるのか、「Mc」の意味はなんなのかをご紹介するよ。
彼らのルーツはアイルランド
まずアイルランドの説明をしようかね。
アイルランドを超短く説明すると
イギリスのお隣に位置するアイルランド共和国は、かなり昔からイギリスとの領土問題があり、今でも北アイルランドの帰属(現在はイギリス連邦構成国)を巡って対立が続いているよ。
そんな難しい歴史を抱えるアイリッシュ(アイルランド人)は、たびたび移住せざるを得ない状況に追い込まれていた為、アメリカをはじめ、イギリスや他のヨーロッパの国などにたくさんのアイルランド系移民が誕生した。
100年単位の時を経てその移民の子孫が増え、今では英語圏を筆頭に、世界中でアイルランドにルーツを持つ人が活躍しているよ。
「Mc」が頭につく苗字の人は、十中八九アイルランドルーツ
世界中に移り住んでいったアイリッシュの中には、先頭に「Mc」がついてる苗字を持つ人がたくさんいたので、今では世界的に一般的な苗字となった。
ちなみに、苗字の前に何かがつくのは、スコットランド出身の方にもよく見られるけど、それも突き詰めるとルーツはゲール語(アイルランド語)のようなので、やっぱり彼らも分類的にはアイルランド系統だそうだ。
アイルランドで「Mc」がつく苗字の意味は
苗字の由来って、住んでいる立地や職業などいろいろあるよね。
日本では、田んぼの真ん中(立地)に住んでるから田中さん、荘園を管理してる(職業)から荘司さん、みたいな。
アイルランドには、「〇〇さんの息子」「〇〇さんの娘」「〇〇さんの嫁」という由来を持つ苗字があり、「Mc」は「息子」という意味で苗字の先頭につけられるんだよね。
だから、「McDonald」は「Donaldの息子」という意味の苗字なんだ。
ちょっと話が逸れるけど、海外では父親と全く同じ名前を息子につけることがよくある。
英語圏の場合だと、息子の方は名前の最後に「Jr.」がつけられ、父親の方は名前の最後に「Sr. (Seniorの略)」を付けて呼ばれるようになるよ。
例えば、俳優のRobert Downey, Jr.はお父さんもRobert Downeyなので、「お父さんの方」ということを明確に言いたい時は、「Robert Downey Sr.」と言う。
この「Jr.」のアイルランド版が「Mc」というわけ。
ちなみに、ロシア語圏でも父親と同じ名前を息子につける習慣がある。
ロシア語圏の名前は、下の名前・父称(父親の名前+vich/vna)・苗字の順で構成され、プーチン大統領の場合、フルネームは「Vladimir Vladimirovich Putin」なので、お父さんも「Vladimir」であることがわかる。
他にも種類がある
なんせ苗字に付け加えられることで始まったシステムなので、アイルランド系移民たちの「Mc~」は「Jr.」と違って、今となっては「子孫」のような意味になってるみたい。「Mc~」の苗字を持つ人の子供も普通に「Mc~」という苗字を名乗るからそんなことになっちゃったんだろうね。
ところが、「Mc」と別に、そもそも「子孫」という意味で苗字の前につけるやつもあるんだよね。「O’~」のシリーズなんですけども。俳優の「Kevin J. O’Connor(ケヴィン・J・オコナー)」がこのタイプ。
「Connorの子孫」という意味を持つ苗字で、彼もやっぱりアイルランド系アメリカ人。
北欧にも同じシリーズがある
「Anderson」や「Nilsson」のように「〇〇son」のシリーズも「〇〇の息子」という意味を持つ苗字。「son」って言っちゃってるのでそのままだよね。
特にアイスランドは「〇〇son」という苗字が今でも大変多いみたいだね。サッカーとか見てて「選手が〇〇ソンばっかりやな!」と思った方も多いんじゃないかな。
また、デンマークでは「son」の発音がだんだん弱化して「sen」になったよ。
ピンと来た?そう、デンマークが生んだ”北欧の至宝”「Mads Mikkelsen(マッツ・ミケルセン)」も「Mikkel(デンマーク版Michael)の息子」という苗字を持つデンマーク人なんだよね。
さらにマッツ絡みでもう一人、マッツと007 Casino Royaleで共演したデンマーク人俳優「Jesper Christensen(イェスパー・クリステンセン)」も「Christenの息子」。
実は大変ややこしいアイルランド姓
そもそも、アイルランドではアイルランド語がメインで使われてたんだ。複雑な歴史のおかげで今は英語がメインで使われているものの。
ちょっと難しい話だけど、アイルランド語は言語系統的には「ケルト語派」なので、「ゲルマン語派」の英語とは言語的な先祖が違う。
その影響もあって、苗字の綴りや読み方などのルールが独特で、先ほどの「O’~」のシリーズの苗字は、実は男性用の「子孫」の言い方なんだよね。
また、その立場が息子なのか子孫なのか、また、女性の場合は妻なのか娘なのかで、先頭につくフレーズが「Mc」だったり「O’」だったり「Ua」だったり「Uí」だったり「Ní」だったり、元の苗字が母音で始まってたら「O’h~」にしなきゃいけない等、いろいろ細かいルールがあるみたい。
ここでさらにややこしいアイルランド系移民。
アイルランド系アメリカ人を例に説明すると、彼らの苗字はアイリッシュスタイルだけど、文化はアメリカンスタイルなので、もしアイルランド系アメリカ人男性の「O’Neill」さんと結婚した女性がいた場合、その女性は「Mrs. O’Neill」でOKなんだよね。
たぶん本来のアイリッシュルールだと「UíNeill」になるパターンだと思うんだけど…。ちょっと複雑すぎてよくわからん。
世界に浸透するアイリッシュ
なんか複雑すぎてグダグダになっちゃったけど、もしアレだったらカタカナで覚えている有名外国人のお名前の正式な綴り調べてみてね。
「Mc」や「O’」がついた人、結構いるよ。
サッと思いついただけでも、ダグラス・マッカーサー、ユアン・マクレガー、ジャック・オコンネル、ジェームズ・マカヴォイなどなど。
世の中アイリッシュ姓の人たちが大活躍だね。
ということで、アイルランドについてもうちょいしっかり説明した記事はこちら