これまで散々ユーロビジョンを推してきたわけだけども、実はもう1つユーロビジョンっぽいイベントがあるのだよこの世界には。
参加対象はなんと「全世界」、の軍楽隊(各国軍の音楽隊)もしくは伝統芸能・音楽集団。
軍の音楽隊とかいろいろガチすぎてめっちゃ面白いからぜひ1回見てみて!マジすごいよ!
ロシアが主催するから成立してるような奇跡のイベント
ハタから見たら軍事イベントに見えるかもしれないので最初に言っておく。
スパスカヤ・タワーは各国の音楽隊が演奏を披露するだけの「音楽イベント」だよ。主催国がロシアなので、ロシアは軍のお偉いさんとか見に来てるけども、全く軍事的なアレではない。なんせアメリカ軍がこのイベントに参加したことがあるぐらいだからね。むしろ平和。
アレよ。昔、海上保安庁がイベントでAKB踊ったのが話題になったじゃん?ノリ的にはこの系統。いろんな国の軍(や警察)の音楽隊もしくは伝統音楽・舞踊集団のパフォーマンスをみんなで楽しむイベント。
日本では「軍隊」がタブー視されているところがあるので、若干書きづらいトピックではあるんだけど、音楽が国境を越える様子や、主に東側の様子がよくわかるイベントなので、いろんな国を知りたい人には面白いと思うよ。
何度も言うけど、主催国がロシアなので、いろんな意味で「ノリが東側」です。普段あんまり見る機会ないだろうから物珍しく見えるかもね。
ということで見どころを説明しよう。
衣装が良き
毎年出場者の7割ぐらいが軍楽隊で、残りの3割が伝統音楽・舞踊集団なので、ほとんどの出場者が軍服。そもそも、軍服に限らず制服が好物な人にはマジでこのイベントをおすすめする。
「軍服」と一言で言っても、各国の陸海空、部隊によってかなり違うのだ。しかも式典用とかあったりするみたいで、お国柄がよく出てる制服が多いんだよね。(ミリタリー知識は皆無なので詳細はわからない)
まずはロシア
ロシアは毎年複数の軍楽隊が参加するんだけど、とりあえず基準として、ほぼ毎年参加する中央軍管区軍楽隊(ЦВО)の制服をどうぞ。たぶん式典用かなんかだと思う。
普段はこんな感じの制服。ちなみにこの人は中央軍管区軍楽隊のボス。階級は大佐。
これを踏まえて、お国柄が出た制服シリーズをご紹介しよう。
エジプト
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> ファラオ <
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エジプトは割と頻繁に参加するんだけど毎度ファラオで出てくる。普段はコレらしいので、たぶんエジプト軍の制服には「式典用ファラオ」が存在すると思われる。とんでもないパワーワードが爆誕してしまった。
モンゴル
兜のツノや、中華系とロシア系の中間のような模様が特徴。さすがに普段からこのカラーリングってことはないだろうから、これも式典用か、もしくは儀仗兵とかの衣装かな?勝手なイメージだけど、儀仗兵って赤っぽいの多いよね。
スリランカ
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> ターバン風 <
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インドのお隣、紅茶でおなじみのスリランカでは、帽子でちょっとしたターバン国をアピールしている。クラリネットが蛇使いの笛に見える不思議。
インド
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> もはやターバン <
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スリランカはちょっと遠慮してターバン風の制帽だったけど、インドは普通にターバン。お飾りのついた華やかなターバン。期待を裏切らないインド。
トルコ
これ、「メフテルハーネ」と呼ばれる、トルコの伝統的な軍歌を演奏するれっきとした「軍楽隊」。軍隊感よりも伝統芸能感が前面に出てるけど、このでっかい太鼓とトルネコっぽいおじさんたちの感じがトルコ。
イタリア
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> シャレオツ <
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イタリアヤバくない?完全にオシャレ番長なんだけど。羽飾りとかオシャレアイテムがすぎる。シャレオツの羽。そして、アジアにはなかなかいないマント付き。
オーケストラ奏者の体力
軍楽隊ってさ、それこそ軍事パレードでもそうだけど、歩きながら演奏しなきゃいけないから結構大変だと思うんだよね。特に吹くタイプの楽器の奏者は。息切れしてる場合じゃないよコレ。
そんなオーケストラ奏者の体力が試されるのがこのスパスカヤ・タワー。演奏以外の事も結構やらせるよ。
こちらはモスクワミリタリー音楽大学のパフォーマンス。若いので毎年かなり踊ったり走ったりさせられる。
軍楽隊によっては軽いコントまでやる。
このステッキみたいな指揮棒持ってる人は、先ほど↑で紹介した中央軍管区軍楽隊(ЦВО)のNo.2、腕をケガしてる方はダンサーではなく、ただの運動神経がいい演奏者。みんなノリノリである。
軍隊の本気
こちらはイタリア陸軍歩兵科の軍楽隊。彼らの売りは「駆け足行進」。吹く系の楽器しかいないのに移動は基本的に走る。
小さくて見づらいけど、頭のもふもふした黒いやつはアレです。「シャレオツの羽」です。彼らもイタリア軍なので。走りやすいように実用的な格好だけど、シャレオツの羽で美しさアップ。
※実際はカモフラージュ的なアレで付いてるようです。とはいえ付け方がシャレオツ。
このイベント一番の見どころは「集団行動」
「集団行動」って言ってスッと伝わってるのかしら。コレ他に何か言い方あるのかね?団体行動的な意味じゃなくて、大人数でなんかぬるぬる動くやつの方。実際に見てもらった方が早いな。
こんなやつ。「うぉぉおおおぉお」ってなるよね。こういうの大好きなんだけど主に東側諸国でしか普及してないらしく、動画を探すと大体ロシア軍。名産地はロシアなのかしら。
スパスカヤ・タワーに出場する軍楽隊の中には集団行動のメンバーがいる国もあって、これがなかなか面白い。
すごくない?これすごくない?体育祭とかでやったら盛り上がると思うんだけど()
中二的カッコよさ
集団行動をド正面から撮影すると、武器をスゥー…っと振り下ろしたような写真が撮れることもある。なんかの漫画であったよねこんな絵のシーン。
選曲が意外とポップ
軍楽隊だからといって軍歌と民俗音楽ばっかじゃないんだよ。
こちらカザフスタン軍楽隊。特に若い人は知らないかもしれないけど、「2 Unlimited」という歌手の大ヒット曲「No Limit」を披露した時の様子だよ。原曲はこちら(YouTube)
ハードコアテクノで集団行動。なかなかないぜこんな組み合わせ。
ロシアのお客さんに喜んでもらえる選曲も
毎年会場がロシアなので、お客さんもロシア人が一番多いらしいんだよね。
そんなロシアのみなさんに、「おたくの国の曲、ちゃんと知ってるんだぜー!」とアピールするような選曲をしてくる国もたくさんあるんだ。
世界的に有名なロシアの曲を、その演奏する国のアレンジでお届けするスペシャルパフォーマンス。地味にこれがアツイ。
トルコが披露した「トルコ風カチューシャ」。曲は聞いたことあるでしょ?めっちゃトルコっぽくなってるけど。
ロシアのお客さんはこういうの大好きなので、他国がロシアの曲を演奏し始めた瞬間、「フゥー!!!!」とか手拍子とかしてめっちゃ喜んでくれる。
2019年、奇跡の共演が実現
「Spasskaya Tower」というイベントとして正式にシリーズ化してから早10年、初めて日本、中国、韓国、北朝鮮が同時に出場した。
韓国からは伝統芸能集団(ハンヌリ・ヨンホイグループ)だったけど、日本からは陸上自衛隊(中央音楽隊)、中国からは人民解放軍、北朝鮮からは朝鮮人民軍。
コレすごくない?事と次第によったらその場で即どつき合いに発展してもおかしくない事案よコレ。
アメリカでも揃えられなさそうなメンバーを揃えてきたロシア。(震え声)
もう一度言っておく、私はノンポリ。
朝鮮人民軍の格の違いがすごすぎた
なんというか、言うても軍事パレード慣れ()してらっしゃるわ。
めっっっちゃ揃う。とにかく揃う。みんな機械みたいな正確さ。TVで軍事パレードとかマスゲームの練習風景が映ったりするけど、ほんと練習量半端ないんだろうね。
そして微妙に見慣れた北朝鮮独特の動き。特に女性陣のしなを作るような動きね。その角度やら目線やらキチっと揃えてくるのがさすがやわ。
あとね、大体の国は動きが止まるタイミングとかで裾をちょっと直したりチラっと横見たりするんだけど、朝鮮人民軍はそういう細かいところまで徹底されてる。マジで一朝一夕で出来る揃い具合じゃないよアレは。
陸自のパフォーマンスがすんごい「和」
日本のパフォーマンスはどうだったのかと言うと、
_人人人人人_
> 和太鼓 <
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制服で和太鼓、という斬新な出で立ちで日本の伝統を披露する陸自音楽隊。
逆を考えたらわかるけど、国外ではやっぱりこういう「ザ・日本」がものすごい喜ばれるみたいやね。他の国もその国の伝統やお国柄が存分に出てる方が見ごたえあるもんね。
54:55頃から陸自の歌姫、お着物の松永美智子さんを投入し、エファージュのCM(動画)でおなじみの「悲しき天使」をオリジナルのロシア語で披露。
この曲、メリー・ホプキンの「Those Were the Days」が原曲と思いきや、これがすでにカバー曲で、ロシアの「 Дорогой длинною 」という歌謡曲が真の原曲なんだよね。
このロシアン歌謡を見事に日本の祭りに仕上げた陸自音楽隊。めっちゃピーヒャラしてる笑
いや大事やで、こういうお国柄アレンジ。
布教用プレイリスト
ということで、2011年以降はフルの動画がYouTubeに上がってたから、プレイリストにまとめたよ。1本3時間ぐらいだけどヒマな時に見てみてね。
スパスカヤ・タワーは毎年9月の1週目ぐらいに開催されていて、ここ数年は毎年YouTubeで中継もやっているのでお楽しみに。
おしまい
ロシアの軍楽隊の中でも、世界的に実力を買われているエース集団のお話もどうぞ
私は俗に言う「ノンポリ」です。とにかくこのイベントに関しては一旦政治云々は忘れてほしい。日本とは平和条約のないロシアが主催してるイベントなので、国際関係的なアレもロシア基準です。だから音楽イベントじゃなかったら、日本と同じイベントには出なさそうな団体さんが登場したりするんだけど、そこはスポーツマンシップ(の音楽版ってなんて言うの)で流そう。「それはそれ、これはこれ」のスキルが求められるイベントだよ。