どうも、ユーロビジョン芸人へいりーです。
近年のユーロビジョンでは、うっすらイロモノ枠というポジションが確立されつつありまして、あまりの奇抜さに大人気になったり、その時は結果が伴わなくてもじわじわロングヒットを続ける名曲がちょいちょい誕生していきます。
ということで、今回はクセもの系ヒット曲のお話。
1. Dancing Lasha Tumbai
全ての始まりがこちら。
俗に言う「イロモノ」が評価されたのは、このヴェルカ・セルヂューチュカが初じゃなかろうか。
2007年にウクライナ代表として登場したヴェルカ、前年の結果から、ウクライナは予選シード権を得ていたため、ヨーロッパ的には決勝でいきなりコレが登場した。
当時の欧州ネット事情がわからんけど、たぶんYouTubeとかでも先行で曲を発表とかはやってなかったんじゃないんかね?やってたとしてもウクライナ国内向けな気がする。つまり、ヨーロッパのほとんどはヴェルカの初見がコレのはず。
実はこのヴェルカ、そもそもはロシア周辺国で活動するコメディアンのアンドレイ・ダニルコ扮するキャラ。確認出来た限りだと、すでに1997年にはこのキャラが誕生していて、当時はスタンダップコメディやコントのキャラ、要するに「Mr.ビーン」的な感じだったんだろうけども、2005年にもなるとだいぶ今のスタイルに近い感じで歌い始めている。
こんだけ昔から活動してるということは、ウクライナやロシアの方々は知ってたわけですよ。このクセのすごいヤツの存在を。
2007年にヴェルカの代表が発表された際、ウクライナやロシアは嫌な予感しかしなかったんじゃなかろうか。言うても当時はまだイロモノ枠が存在しなかったので、まぁまぁスベるか…いやでもこのローカルでの人気を考えたらワンチャンあるかも…と思ったら、あわや優勝する勢いでヨーロッパ全土から絶賛されたので、ウクライナは相当びっくりしたと思う。
ユーロビジョン用に振り切ってギンギラギンの衣装にしたのも正解だったね。この派手さが似合うのはマッチがヴェルカぐらいやで。これ以降、完全にこのスタイルと☆がトレードマークになったし、まさかこの後ほぼ毎年登場するほどの人気になるとは。
2. Occidentali’s Karma
ヴェルカの登場以降、「イロモンもアリなんか!」と言わんばかりに各国からいろんなクセモノが登場したけども、完全に「おふざけ」に振り切ってしまってるパターンが多く、普通にスベって消えていった。
言うてもユーロビジョン「ソング」コンテストなので、歌が良くないと話にならんわけです。ヴェルカの場合はキャラこそふざけてるけど、曲は相当キャッチーなやつを出してきたからこその人気だったわけで。
ということで、久々に絶妙なバランスで登場したクセのすごいやつ、2017年イタリア代表のフランチェスコ・ガッバーニ。
コメ欄で「こんな絵に描いたようなイタリア人見たことない」というコメントを見た時は思わず笑ってしまった。
そうなんですよ。ヴェルカのようにキャラ作りをしてるわけでもないけど、想像通りのイタリアンすぎてキャラが立ってしまったフランチェスコ・ガッバーニ。イタリアンファッションブランドのようなお名前。この時代には珍しく、母国語のイタリア語の歌詞、声まで想像通りのイタリアンナイスガイ。
ここまでイタリアを前面に出してるのに、歌詞と衣装はアジアンスタイル。でも、うまくミックスしてお着物をイタリアンテーラードなジャケットに仕立ててオシャレに着こなす。なんか仏陀がどうのみたいな歌詞っぽいので最初はインドっぽいMVなのかと思ったけど、小道具や家屋は日本風?でも「ナーマステー!」っつったな?袈裟具合はタイっぽい?という、ふわっとしたアジアンスタイル。
曲調自体は普通にオシャンティキャッチーなのに、サビの振りつけにもクセ。謎のゴリラ。歌詞に「裸の猿」が登場するのでそいつなんだろうけども。
歌詞についてはイタリア語読めないので、最初は英語に機械翻訳したのをなんとなく読み、現代人に対するえらい風刺なんかなって思ってたんだけど、和訳してくれた超ありがたい人の歌詞を見ると、むしろ応援歌なのかなって。しっかりしようぜ現代人!っていう。わからんけど。
3. TOY
初めてユーロビジョンの記事を書いた時にも紹介した、2018年イスラエル代表のネッタ。
MV見た限り、どう見てもふざけとるww
ある意味、曲調的に勢い勝負なところがあるので、ライブでやった方がグッと来る曲ではあると思う。そして、それを完璧にこなしたおかげで、1998年以来20年振りの優勝をイスラエルにもたらした。
その時のパフォーマンスがこちら。
やっぱふざけとるやろこれww
始まった瞬間の会場の困惑っぷり。サビ前で突然鶏になるネッタにポカーンとしてたらサイバーダンス系のサビ。そら盛り上がるわこれ。見れば見るほどハマる。
こういう緩急ある曲はメリハリあっていいね!地味に歌う方かなり技術いりそうだけども。
この次の年、各国の国内イベントでそれはそれはこの曲のカバーが人気でね。各国のプレゼンターや女性コメディアンがモノマネを披露したんよ。いろいろ見て思ったのは、サビ手前は譜面に起こしづらいようなミックスになっていて、ネッタ自身もライブでは独自のアレンジを加えて歌っている、つまり、歌い手側のセンスまかせな感じの節なので、力量差がはっきり出るんだなって…
ネッタみたいな振り切ったタイプというか、もうこういうスタイルで固めてある人じゃないと、なんとかどこかに収まりよく合わせに行こうとしてる感が出ちゃうみたいで、これももう一種の技術なんだなって思った。
各国のカバー系で一番素晴らしい!と思ったのがセルビア。
このカバーしたボヤーナ・スタメノフ、実は2015年のセルビア代表。歌唱力ガチ勢の方です。元々歌もうまいし曲も良かったのでだいぶいいところまで行ったんだけど、なんせ2015年はモンスが強すぎて惜しくも優勝は逃した。でもボヤーナも好き。2015年当時のパフォーマンスだいぶ良かったので、もし興味があれば見てみてね。
4. Say Na Na Na
4曲目はサンマリノの記事でも書いた、2019年サンマリノ代表のセルハト。
とにかくユーロビジョン弱小国のサンマリノで一番のクリティカルヒットなこの曲、決勝では19位と全然パッとしなかったんだけど、2008年に参戦開始して以来、2014年以来2度目の予選突破だけでなく、最多得票の77ポイント。
3万人ちょいしか国民がいないサンマリノの曲で既に200万再生オーバーを達成した、サンマリノ史上最大のヒット曲と言っても過言ではない。
ちなみに、コメ欄ではSay Na Na Na大喜利が繰り広げられてるので、普通の感想を探すのが大変だけど、このツリーが真理だと思う↓
初見:なんだコイツ…
2回目:そんな悪くないな
3回目:レッツダンス!
65254回目:セイ!ナーナナー~~~マジか自分と一緒や
最初これ今年で一番酷いって思ったけど、ひでえなって見てたら1週間後にそない悪くないってなって1か月後Say nananaSay nananaSay nananaSay nananaSay nananaSay nanana
ほんとそれ。聞けば聞くほどなぜかハマる。「じわじわキャッチー」とでも言うんかね。
若干哀愁系なのがまたいい味出してるよね。初見の時はこんな曲他にもあったよな…と思いつつ聞いてて全く思い出せず、その後なんとかひねり出したのが、Plastic Soul(山崎まさよし)。サビの出だしのコード進行?が近いような。こういう流れの曲割と好き。
ちなみに、こんだけキャッチーな曲なのに歌詞は意外と沁みるので、よかったら和訳見てって…疲れてる人には刺さると思う…↓
5. Uno
最後はすでに何度も記事にした2020年ロシア代表のLittel Big。
残念ながら中止になってしまった2020年大会。
今となったら結果はどうなるかわからないけど、このオフィシャルMV、なんとユーロビジョン公式チャンネル史上最多再生回数の記録を作りました()
2021年2月末時点で1.8億再生よ!?
まーーーーー世界中が楽しみにしてたと思うよ2020年のロシアは!マジでいけると思ったもんよ。マジでぶっちぎりの1位か、ダダすべりのどっちかだと思った。でも、この人気っぷりを見ると、ぶっちぎり1位の世界線だったんじゃなかろうか。
Little Bigからしたら、まぁそれぐらいは当然なわけよ。なぜなら、彼らの公式チャンネルで1億再生を超えてる曲がすでに5曲以上存在しているからね。ロシアを代表する歌手のジーマ・ビラーンやセルゲイ・ラザレフでも1曲ぐらいは1億超えてるのもあるけど、そんなにホイホイと億超えするような事態にはなってないんよ。
中でも、Little Big最大のヒット曲、Skibidiに至っては再生数5億突破やからね。5億!
Skibidiもそうだけど、このUnoもとにかくキャッチー。狙った獲物は逃さない。1回聞けば絶対覚える曲でしょ?Little Bigの特徴はこのスキルがやけに長けてることだと思う。キャッチー製造機。
Little Bigは別件でちゃんと記事書いてるので、そっちもどうぞ。