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関節過可動型エーラス・ダンロス症候群の診断基準の説明

diagnosis01体の不調
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難病に指定されているエーラス・ダンロス症候群の関節過可動型(以下hEDS)の診断基準は新旧2パターンあるんだけど、そのうちの新基準の方は情報少ないので詳細をまとめておこうと思う。

というか、診断基準に書いてることがよくわからなかった(もはや読解力の問題)ので、あーそれそういうことか!って思ったことをまとめておくよ。

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hEDSの新基準とは

2017年に。EDS International Consortiumって組織がAmerican Journal of MedicalGeneticsって学術雑誌(?)で発表したやつね。原文はここで無料で公開されてるよ。

その診断基準の部分を抜粋した和訳版がエーラス・ダンロス症候群友の会に掲載されているので、「それどういうこと?」「どうやって確認すんの?」ってのをわかる範囲でまとめるよ。

新基準は、「基準1」「基準2」「基準3」の3つから構成されてて、全ての基準を満たせばhEDSでしょうね、っていう臨床(重要)診断になるらしい。

以下、引用部分は全てエーラス・ダンロス症候群友の会

基準1:全身関節過可動

Beightonスコア:思春期前では6以上、思春期男性および50までの女性では5以上、50歳以上では4以上

http://ehlersdanlos-jp.net/whats_eds5.html#stype5

Beightonスコアはなんぞや?

コレです↓

この5つのポーズが出来るかどうかで判断するよ。

画像の左から順に説明すると、

  1. 前屈で掌全体が床につくかどうか
  2. 親指が手首の内側につくかどうか
  3. 小指の付け根が手の甲から90度以上後ろに曲がるかどうか
  4. 足を延ばした状態で膝が逆方向に10度以上曲がるかどうか
  5. 腕を伸ばして肘の角度が逆方向に10度以上曲がるかどうか

です。

1はそれが出来れば1点。2から4までは左右でそれぞれ1点ずつ、例えば、右(もしくは左)の親指だけが手首の内側につくなら1点、右も左もつくなら2点、というようにカウントする。

基準1を満たすには、思春期前の人は6点以上、思春期の男性や50歳までの女性は5点以上、50歳以上なら4点以上が必要。

これは家でも確認出来るので、怪しいと思った人はとりあえずコレをやってみてほしい。これの基準に満たないようなら少なくともhEDSではないみたいよ。ちなみにワイがやった結果がこちら

スマホのタイマー撮影とかで写真撮って、分度器の画像とか乗せるとわかりやすいと思う。病院で診てもらった時は、肘の角度とかこんなので測ってもらった。

※関節に痛みがある場合は無理してやらないでね…

基準2:症状A、症状B、症状Cのうち、2つ以上に当てはまる

ハイ、基準2はちょっと長くて複雑だよ。

ちょっと順番ごっちゃになるけど、わかりやすい順に説明すると、「症状B」ってのは身内にhEDSと診断された人がいるかどうか。hEDSって診断されるまで結構大変なので、そうそういないんじゃないの?とは思う。というか、症状Bに当てはまる人はもう周りの人もhEDSの知識あると思うので、ある意味大丈夫よ(?)

で、ご自身の一族初のhEDSを疑ってる人は、実質、症状Aと症状Cが当てはまるかどうかが正念場になると思う。

「症状A」は一番複雑なので、まずは「症状C」を説明するね。

症状C:筋骨格系の合併症(少なくとも1項目が必須)

1. 毎日繰り返され、最低3か月以上持続する、2つ以上の四肢筋骨格系の疼痛。
2. 3か月以上持続する慢性で広範囲な疼痛。
3. 外傷のない状態での関節脱臼の反復、または、明らかな関節の不安定さ(aまたはb)。
 a:同一関節における3回以上の非外傷性脱臼、または、2つの異なる関節において異なる時に生じた2回以上の非外傷性脱臼。
 b:外傷とは無関係な2つ以上の部位における、医学的に確定した関節不安定性。

要するに、今どう?って話。(どうって…)

どれぐらい生活に支障出てますか?みたいなことよね。1.の「四肢筋骨格」ってのは、「四肢 筋骨格」らしいよ。最初見た時は「四肢筋」と「骨格」なのかと思ったよ(ポンコツ)。

「四肢」は両手両足ね、両腕両脚とでも言いましょうか。で、「四肢」の「筋骨格系」というのは、両腕両脚の骨、関節、筋肉、腱、靱帯、滑液包のことですって。この部分に痛みがあるかどうか、ということらしい。もうちょい詳しい説明はMSDマニュアルにあったよ。

私の場合、最初にEDS疑惑の記事を書いたのは2019年の11月頃で、そろそろ病院行かねばと思って「今これだけの痛みが出てる」って記事を書いたのが2020年の6月頃。その頃にはもう捻挫まみれになって久しいけど、コロナ禍で病院行くの渋ってた状態だった。それこそコロナの感染拡大と同時進行ぐらいでみるみる捻挫が増えてったんじゃなかったかな。

EDS疑惑の記事の時点で少なくとも2か所(人差し指と手首)は痛いまんま治ってなかったけど、その後半年ぐらいで痛い箇所が数え切れなくなってきた。これはもはや2.の「慢性で広範囲な疼痛」に差し掛かったんじゃないかと思ったけど、結局「広範囲」がどれぐらいのことかわからなかったのでカウントしなかった。まぁどのみち1~3のどれか1個該当しただけでも症状Cは満たしてしまうので。

最後の3.については、関節の緩さの話だと思う。a.かb.のどちらか1つでも認められれば、3.も認められる、ということやね。

a.の「非外傷性脱臼」ってのは、怪我とかで脱臼したんじゃなくて、生まれつき関節が緩くて脱臼することを言ってるんだと思う。例えば、プロ野球選手がヘッドスライディングした時に、ベースとぶつかって肩を脱臼してしまうことがあるけど、こういうのが外傷性脱臼なんじゃないかな。一方で、プロ野球選手のように肩を酷使したり怪我をしたことがない一般人が、ボールを投げただけで肩が脱臼してしまった場合は非外傷性脱臼になるんだと思う。

仮に、この一般人がボールを投げて3回以上肩の同じ部分を脱臼したことがあればa.は認められる。また、ボールを投げて右肩を脱臼してしまったので、完治後に左腕でボールを投げてみたら、今度は左肩が脱臼してしまった、という場合は、「2つの異なる関節が異なるタイミングで2回以上脱臼」に当てはまるんだろうね。

b.については、医者も認める緩い関節が2か所以上あるかどうか。

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要するに、こういうことです。

私は整形外科で「親指の第1関節が緩くて、第2関節は亜脱臼してるね~」って先生に言われたことがあるので、医者も認める緩い関節が2か所以上あります。ちなみにコレ、怪我きっかけとかでこうなったわけじゃないよ。生まれつきこの緩さで、ちょっと押せばぐにゃぐにゃ曲がるので痛くもないよ。

ということで、「症状B」と「症状C」がわかったところで一番ややこしいやついきますか。

「症状A」ってのはコレね↓

症状A:より全身的な結合組織疾患を示す系統的症状群(合計5項目が必須)

1. 通常ではない柔らかさを持った、または、ベルベット状の皮膚
2. 軽度の皮膚過伸展性
3. 説明のつかない皮膚線条、例えば青春期(思春期?成人期)、男性または思春期前の女性、における
部、鼠径部、大腿部、乳房および/または腹部の広い線条や赤い線条のようなもの(あきらかな体脂肪や体重の増加や減少に関する病歴・自然歴・経過がない)。
4. 踵における両側の圧迫性丘疹。
5. 反復性または多発性の腹壁ヘルニア(臍、鼠径、すね等)。
6. 2か所以上の萎縮性瘢痕があるが、古典型EDSに見られるような真に紙のような、および/または、血鉄素様の瘢痕はない。
7. 病的肥満、あるいは、他の背景となる医学的状態の病歴がない状況での、小児、男性、出産経験のない女性における骨盤臓器脱、直腸脱、および/または、子宮脱。
8. 歯の叢生、および、高くまたは狭い口蓋
9. 以下の1つ以上の所見で示されるくも状指、(i)両側の手首サイン(Steinbergサイン)陽性、(ii)両側の親指サイン(Walkerサイン)陽性。
10. 腕の長さ(arm span) / 身長比≧1.05。
11. 厳密な心エコー基準に基づく軽度以上の僧帽弁逸脱。
12. Z-スコア>+2の大動脈基部拡張。

この中で5つ当てはまるものがあるかどうか。とりあえず、病院で検査しないと見当もつかない項目は7、11、12かな。

1、2は薄々見当つくけど、診てもらった先生の感覚に依存する基準しか書かれてないので、実際は受診しないとどうかは判断つかないと思う。一応、目安的なことを言うと、2.については前腕皮膚過伸展テストで2cm以上3cm未満なら怪しいと思っていいかも。

参考情報だけど、Howard P Levy医学博士の論文に2cm以上なら過伸展と判断していいって書いてあるんだよね。で、古典型の診断基準で3cm以上から陽性になり得るとされてるので、その間なら「軽度」なんじゃないの?っていう予想。

ということで、残りは「それなんなん?」って感じのやつなので、出来るだけサンプル出して説明するよ。

まずは3の皮膚線条。

eds_08

特に女性の方はピンときやすいと思うけど、太ももの外側とかにありがちなセルライトの肉割れみたいなやつが背中や鼠径部、太ももの内側、胸のいずれかにあるかどうか。もちろん、急に太った、痩せたとかで出来たやつはノーカンね。で、「赤い線条」ってどんなんよ?って思ったら、こういうタイプのやつが赤い線条らしい。私の場合は背中にあるけど、白(?)のみ。

4の「圧迫性丘疹」ってのは、両足の踵に5mmぐらいの丸いプツプツが出るかどうか。

eds02-03

これね、出し方を知らなかったので私は出ないタイプだと思ってたんだけど、「圧迫性」なので、踵に体重かけてグッと押さえつけるようにしたら出た。これ出ない人いるのかね?まぁとりあえず痛くもかゆくもないやつだからやってみそ。

↑の画像は私の右足の内側なんだけど、左足の内側は1個だけ。右足は小さめのやつがモコモコっと出て、左足は大き目のやつが1個だけボコっと出た。体重をうまいことかけないとなかなか見た目にわかるほどに出ないんだけど、触ればなんかモコモコしてるのがわかると思う。出てるのであれば。触ってもわからない感じだったら「出てない」って判断でいいんじゃないかな。

次は5。私は該当しなかったのでアレなんだけど、腹壁ヘルニアはこんな感じで見た目にボコッて出てるのがわかるみたいなので、場所はいろいろみたいだけど、とにかくこんなのがあれば怪しいと思っていいのでは。

ハイ、問題の6、萎縮性瘢痕について。とりあえずワイのコレは違うらしい。クシャっとしてればいいわけではないらしく、なんつったらいいかね?こんな感じのやつですってよ。左側がhEDSの人で、右が古典型の人らしい。hEDSの萎縮性瘢痕は、なんかペラっとした傷跡みたいな感じらしい。出る場所は膝率が高そう。

8の「歯の叢生」ってのは簡単に言うと歯並びの悪い人。高い/狭い口蓋というのは、上あごがフラット気味じゃなくてポコっと真ん中らへんがへこんでるタイプの人。比較はこんな感じ。左上が正常、右上が軽度、左下が中程度、右下が重度の高い/狭い口蓋だそう。

9のSteinbergサイン、Walkerサインはスッと確認出来るから、今すぐやってみそ。

eds_09

これがSteinbergサイン。グーで左右両方の親指の爪が掌の外側まで出れば陽性。

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Walkerサインがコレ。手首をつかんだ手の親指が小指の第1関節まで全カバー出来れば陽性。これも左右両方。

SteinbergサインもWalkerサインも両手どっちも出来ないと陽性にはならないけど、SteinbergサインかWalkerサインどちらか1つ陽性なら9のくも状指は認められる。

最後の10の腕の長さも自分で測って計算出来るのでやってみそ。1人だと大変かもしれないけど、部屋の角から壁づたいに手を広げて測ったりとか、一応やれば出来る系の項目なので、自分で出来そうなやつだけでも確認しておくといいかも。

基準3:以下全ての項目を満たす。

1. 異常な皮膚脆弱性がないこと。あれば、他病型を考慮する。
2. 自己免疫性リウマチ性疾患を含め、他の先天性または後天性の結合組織疾患を否定すること。後天性の結合組織疾患(ループス、リウマチ性関節炎など)の患者において、過可動性EDSも持っているとの診断をするには基準2の症状Aと症状Bを必要とする。この場合、基準2の症状C(慢性疼痛および/または不安定性)は数えられない。
3. 筋緊張低下および/または結合組織弛緩による関節過可動性をも含む鑑別診断を除外すること。例えば、神経筋疾患(ミオパチー型EDS、ベツレム型ミオパチーなど)、他の遺伝性結合組織疾患(他のEDS病型、ロイス・ディーツ症候群、マルファン症候群など)、および骨系統疾患(骨形成不全症など)など。これらの疾患の除外は、経過、身体初見、および/または、分子遺伝学的検査に基づく。

この項目は、他の病気と区別するための項目みたいだね。この項目で満たないものがあれば、そっちの疾患を先に疑え、ということ。

1は異常に皮膚が脆弱な場合、EDSはEDSかもしれないけど、hEDSではないかもよ、ということ。例えば、前腕皮膚過伸展テストで3cm以上伸びたとか、皮膚が裂けやすいとかあったら古典型とか皮膚脆弱型かもよ、みたいなことなんじゃないかね。

2は自己免疫性リウマチ性疾患などの結合組織疾患が先天性で診断されていた場合はそっちが優先、後天的なら基準2は症状Aと症状Bを満たさないとhEDSとは診断出来ない。つまり、身内にhEDSがいないと診断基準に満たない、ということやね。

3は正直言ってイマイチよくわからない(えっ)。他にもEDSっぽい疾患はこれだけありまして、これらと区別するには経過、身体初見、分子遺伝学的検査に基づく=その疾患に詳しい先生にガッツリ診てもらったり分子遺伝学的検査してちゃんと否定してもらいなさいよ、みたいなことなんじゃないかな。

今サラっと見た限りでも、3で名前が挙がってる疾患は原因遺伝子が特定されてるみたいなので、とりあえず分子遺伝学的検査すれば一発で除外出来るかどうかわかりそう。

新基準はいつになればスタンダードになるのか

これだけあれこれ書いておいてアレだけど、仮に新診断基準で臨床診断が下りたとしても、難病申請が通る可能性は低いらしいんよね。(!)

なぜかというと、難病医療費助成制度の申請に必要な臨床調査個人票(pdf)が旧基準だから。

diagnosis02

コレ、関節型EDSの臨床調査個人票の診断に関する項目なんだけど、診断のカテゴリーで確定診断させるには、とにかく遺伝学的検査でTNXB遺伝子等に変異が認められなければ「非該当」にしかならんのよ。で、その上の遺伝学的検査のところに書いてあるけど、「関節型EDSの小数例のみに遺伝子の変異を認める」、つまり、少数例以外の遺伝子の変異のない関節型EDSの人は確定診断が下りない可能性がかなり高い。

経済的に余裕がない場合、関節型EDSの可能性がなんぼ高くても、症状が相当酷くない限りは医療費助成は受けられないと思ってほぼ間違いないので、例えば手足脱臼しまくりで車椅子や介助が必要とかじゃないレベルの場合、医療費の助成なしでこの治らない病気のために延々通院してもいいと思えるかどうか、みたいなことよ。だいぶ極論だけども私はそう理解した。

友の会にもチラっと質問してみたけど、やっぱり多くの人(EDS患者の総数は少ないんだろうけど割合的な話)は臨床診断でhEDSと診断されていて、確定診断はなかなか下りないのが実情と言っていた。ただし、症状が重い場合は障害者手帳の申請が通って、それ関連の手当や助成が受けられるようになるパターンがあるらしい。

私の場合、現状は手足肩肘膝ありとあらゆるところの捻挫はあるけど、本当に今のところずっと捻挫のみで、なんか疲労骨折的なのがたまにあるぐらいなので、もう脱臼か動けなくなるような症状が出るまで通院はいいや、と思った。市販のサポーターや装具でしのぐ。たぶん現状何の申請も下りないっぽいので。

臨床調査個人票の症状の項目、ほとんどチェック入る勢いなんだけどね。それでも「疑い」です。

ということで、厚生労働省に文句ご意見送っといた

おしまい

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