フィンランドと言えばサンタクロース、ムーミンなど、幻想的なイメージの強い北欧の国。
ところがどっこい、フィンランドは全体的にクセがすごい。それがフィンランドのいいところ。
恒例のEurovision(ユーロビジョン)情報
もうね、ヨーロッパの国を語る上でユーロビジョンは外せない。
フィンランド唯一のユーロビジョン優勝者
すでにユーロビジョン始まって以来50年以上経過しているけども、フィンランドが優勝したのはたったの1回。隣国のスウェーデンがボロ勝ちしてる割に、フィンランドはユーロビジョン弱小国なんだよね。
そのフィンランド唯一の優勝者がこちら!
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> クセがすごい <
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なんか情報量が多いけど少ない写真。結局のところ、彼らは(国旗的に)フィンランド人なのだろう、ということぐらいしかわからない。
音楽的にフィンランドはハードロックの本場として知られてるらしく、その本場の方々がユーロビジョンに参戦したところ、なんとそのまま優勝してしまった衝撃の2006年大会。
ちなみに、彼らは「Lordi(ローディ)」というハードロックバンド。ユーロビジョンで優勝して以降数回のメンバー変更があり、現行のLordiはこんなメンバーになっている!
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> 違いがわかりづらい <
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まぁわかりやすいところから言うと、女性メンバーがいるよね()
なぜこんなにわかりづらいのかと言うと、彼らの特殊メイクが時代と共にちょいちょい変わってるから。
Lordiには、デーモン閣下のような「これが素顔である」という設定はない。
「モンスター的なイメージを作っている」と公言している割と普通のモンスターたちなのだ。
普通のモンスターなので「今、新しい顔(特殊メイクのマスク)を制作中だよ」とかインスタに載せちゃう。
フィンランドが普通に頑張ると全く成績が振るわない
フィンランドだってこんなクセだらけの歌手しかいないわけじゃないんだよ。他の国みたいなオシャレポップ勢を出しても勝てないってだけで。
他国がフィンランドに求めてるのはソレじゃないんだと。そう言わんばかりの残ない成績になってしまうのである。
ここで、個人的に「おっ!フィンランド今回ワンチャンあるんじゃない?」って思ったユーロビジョン出場曲をご紹介しよう。
まずは2016年のフィンランド代表Sandhja(サンディヤ)、「Sing It Away」という曲。
元気でファンキーでしょ?コレ割と良くない?予選落ちしたけどね。
次は2009年の代表、Waldo’s People(ワルドーズ・ピープル)の「Lose Control」。
これは歌唱力もあるし盛り上がるし、いい感じのダンスポップで見事に予選突破!決勝でまさかのドベ!
そして2019年、久々にやる気を出したフィンランドは、なんかオシャレ疾走系のボーイズを出してきた。
Darude feat. Sebastian Rejman(ダルード feat. セバスチャン・レイマン)の「Look Away」。ようわからんけど車のCMとかで普通に流れそうなさわやかシンセポップっぽくて割と良くない?
予選でドベだったけど!!
フィンランドは「クセのすごさ」を期待されている
そう、他のヨーロッパ勢はフィンランドに「普通のカッコいいアーティスト」なんて望んでいないのだ。Lordiみたいなクセのすごいやつを出してこいと。
下手に男女混合のポップグループとか出せば隣国最強のABBAと比較され、普通のロックバンドでも結局Lordiと比較されて結果が出にくいかわいそうなフィンランド。
言語的にヨーロッパで孤立
次はフィンランドの言語のクセについて。
フィンランドの言語とその祖先
フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語。
過去に隣国のスウェーデンに統治されてたこともあり、話者こそ国民の5%ぐらいしかいないものの、スウェーデン語もちゃんと公用語として使われてるよ。
地球始まって以来、大体距離的に近い国はその周辺と同じ言語を使ってるパターンが多く、特にヨーロッパは国の数は多いけど、ほとんどが陸続きなだけあって、大体同じ言語が使われている。
こちらはヨーロッパの言語分布マップ。ヨーロッパの言語はほとんどが「インド・ヨーロッパ語族」という同じ祖先を持つ言語で、この地図上では、その中でも「ドイツ語系」とか「イタリア系」とか同じ系列ごとに色分けされているよ。フィンランドの色はグレーだね。グレーは何のグループかと言うと、インド・ヨーロッパ語族ではない言語。
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> そもそも祖先が違う <
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そう、フィンランド語は「ウラル語族」という、隣国の公用語であるスウェーデン語ともロシア語とも違う祖先を持つ言語なのだ。スウェーデン語とロシア語の祖先は同じなのに…
ヨーロッパでフィンランド語と同じ祖先を持つのはエストニア語とハンガリー語だけ。エストニアは海挟んで隣だからまだわかるけど、ハンガリーはどうしたんや…?
ちなみに、日本語も言語的に孤立してるらしい。それどころか言語界では、話者は多いくせにルーツや多言語との関連が全くわかってない謎言語として知られているらしい。
周辺国と言語的祖先が違うとこんなことになる
日本語と中国語はお互いに疎通が取れない別言語だけど、一部の単語は似てたり共通だったりするので、漢字縛りの筆談で頑張れば、お互い微妙に意味が理解出来たりするんだよね。
例えば、中国語が全くわからない日本人でも、中国語圏のスーパーで「我 豆腐 買」とか書いて店員に見せたら、「あぁこいつ豆腐買いたいんだな」ってのは伝わると思う。中国語でも豆腐は「豆腐」なので。
ヨーロッパではほとんどの国がアルファベットを使っていることもあって、この感じで「スペルこそちょっと違うけど、たぶんこの意味」ってなんとなく分かる単語は多いらしい。
そこに言語的に祖先の違うフィンランド語が参戦するとどうなるのか。
日本語は「龍」じゃなくて英語の転写である「ドラゴン」が使われてるのは置いといて、上から順に英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、スウェーデン語、ロシア語、ドイツ語、みんな「dragon」的なスペルなのに、フィンランド語だけが「lohikäärme」。「lohi」が「鮭」、「käärme」は「ヘビ」という意味らしい。
インド・ヨーロッパ語族の祖先が「龍」と名付けた一方で、フィンランド語の祖先は独自に「鮭ヘビ」と名付けていたらしい。ネーミングセンス()
ちなみに、フィンランド語と同じ祖先を持つハンガリー語でも同様の事案が発生。
大体みんな「police(警察)」っぽいのに、ハンガリー語だけ「rendőrség」。
さてみなさん、上の国旗群の右下に白地に青十字の国旗があるのを見つけましたかな?
突然裏切るフィンランド語。
ハンガリー語と祖先が同じなのに、フィンランド語でも「警察」は「poliisi」。むしろどうしたんやハンガリー語。
フィンランド語、ちょっと日本語っぽくなってしまう
同じ孤立系言語同士で、フィンランド語の「sika」が日本語の「豚」、「susi」が「狼」だったりするように、なんか共通点がありそうでなさそうなフィンランド語と日本語。
ここで、欧州勢のスタンダードと全く違う上に、なんだか日本語に近づいてしまった事案を見てみよう。
欧州勢の「夜」。ほぼ「night」系のスペルだけど、フィンランド語だけは「yö」。字面的に「よ」みたいな感じで、むしろ日本語の「夜(よ)」に近くなってしまっている。
…と思いきや
残念ながら、フィンランド語の「y」は母音。「イとウの中間」みたいな音で、「 ö 」も母音で「エとオの中間」みたいな音。つまり、字面は近くても発音的には全然違うのだ。
一方、同系統のエストニア語では
世界一フィンランド語に近いと言っても過言ではないエストニア語の「夜」は「öö」。
おぉー!さすがエストニア語!フィンランド語の良き理解者やな!
まぁ要するにただのネタである
散々フィンランド語(と同じ祖先を持つ言語たち)だけ全然違う!みたいなことを言ってきたわけだけども、ヨーロッパにあれだけ言語的親戚の多い英語でもこんなパターンが存在するのである。
ヨーロッパにとどまらず、マレー語やトルコ語、アラビア語などほとんど全会一致で「ananas」と呼ばれているものでも、英語では「pineapple」なのだ。
ちなみに、フィンランド語でも「ananas」だしエストニア語でも「Ananass」、ハンガリー語でも「ananász」だけど、日本語は英語をベースにしてしまったので「パイナップル」。やっぱりここでも少数派になってしまった。
レーシング大国、ガチで強すぎ説
話は変わって、今度は車の話。
一般人すらドライビングスキルが高いらしい
フィンランドの冬は雪まみれ。どうやら雪国あるあるらしいけど、雪の多い地域の住民は必然的に車の運転スキルが高くなってしまうようだ。噂によると、雪の上でドリフト決めながら車を走らせるBBAが普通にいるとかいないとか。
嘘かホントか一般人でもそのレベルなので、フィンランド人の「レーサー」ともなれば「別格」。
フィンランド人F1ドライバーが強すぎる
フィンランドはモータースポーツ界ではドイツに匹敵する強さを誇る「レース大国」。モータースポーツの最高峰と言われるF1では、これまで7人のフィンランド人ドライバーが誕生しているよ。
フィンランド人初のF1ドライバーはKeke Rosberg(ケケ・ロズベルグ/上段中央)。そして第2のフィンランド人F1ドライバーJ.J.Lehto(J.J.レート/上段左)が登場し、その2年後にMika Häkkinen(ミカ・ハッキネン/上段右)がF1デビュー。さらに3年後、Mika Salo(ミカ・サロ/中段左)がデビューし、その後はKimi Räikkönen(キミ・ライコネン/中段中央)、Heikki Kovalainen(ヘイキ・コバライネン/中段右)、Valtteri Bottas(バルッテリ・ボッタス/下段右)と続く。
人数こそ少ないけど、フィンランド人ドライバーの平均的な実力は恐らく世界最強なのだ。
まずはこの7人中、ロズベルグ(1982)、ハッキネン(1998、1999)、ライコネン(2007)の3人が世界王者。残りのドライバーの成績は微妙だったのかといえばとんでもない。
フィンランド人F1ドライバーは今のところ、全員が最低でも表彰台(3位以内)という驚異の成績を残すプロフェッショナルドライバーなのだ。今後誕生するフィンランド人ドライバーにとっては、重いプレッシャーとなる輝かしい先輩たち。
現在、ライコネンとボッタスが現役のF1ドライバーで、ライコネンはすでに世界王者。ボッタスはというと、まさにここ数年、Lewis Hamilton(ルイス・ハミルトン)と世界王者をかけて争っている実力者。もし、ボッタスが世界王者になれれば、フィンランド人F1ドライバーの4/7人が世界王者となり、実に1/2以上の確率で世界王者が誕生する驚異の国となる。
ちなみに、ケケの息子、Nico Rosberg(ニコ・ロズベルグ)もF1ドライバーで世界王者だけど、ニコはフィンランドとドイツのハーフであり、F1ではドイツ国籍として出走していたんだ。まぁニコも入れると、現時点でフィンランド人F1ドライバーの限りなく半数に近い3.5/7.5人が世界王者ってことになるね。
その中でも最強にして愛され過ぎなF1世界王者
ハイ!改めて、このイケメンが、私がF1を好きになるきっかけとなったF1世界王者、ミカ・ハッキネン。彼については間違いなく語り足りなくなるので、ここではさらっと済ませておく。
ハッキネンは最強を誇るフィンランド人ドライバーの中でも唯一2回世界王者になった、文字通りの「最強」。しかも、「F1界の赤い皇帝」と呼ばれるMichael Schmacher(ミハエル・シューマッハ)と戦って世界王者になったドライバーなんだ。
※語り足りなくなると言いつつ、ここでもチョロっと書いたのでよかったらどうぞ。
ガッツポーズのクセがすごい
北欧らしい金髪碧眼でF1界きっての端正な顔立ちから「北欧の貴公子」と呼ばれ、クリーンファイターで知られたハッキネン。素朴で人柄も良く、世界でも大変ファンが多いドライバーなんだけど、なぜかガッツポーズがダサいことでも有名である。
喜びのあまり、とっさに出た動きにしてはクセがすごい。
この「バッチグー(死語)」のポーズもよくやっちゃう。私は彼以外に表彰台でこのポーズをしてるドライバーは見たことが無い。とにかく、本人は大変うれしそうなのでヨシ。
持ち芸は「一輪車」
彼のクセはそれだけではない。なぜか特技が「一輪車」ということでも知られているハッキネン。
正装で一輪車の謎写真。彼はサーキットに一輪車で登場したこともあるんだよね。なぜそんなに一輪車が気に入ってるのかは謎。でも、ファンはなぜかこういうのを「ハッキネンっぽい」と思ってほっこりしてしまうのだ。見てこのドヤい顔!
フィンランドの「クセ」の部分を集めるとこうなる
ハイ!これまで音楽的なクセ、言語的なクセ、(主にハッキネンの)運動的なクセについて書いてきたけども、これをまとめるとどうなるのか。
フィンランドのクセの頂点、「世界でいちばんダサいPV」
2008年頃に爆発的人気を誇った「世界でいちばんダサいPV」、実はフィンランド産。まさにフィンランドのクセの強さを濃縮した作品だったのだ。そら動きもダサくなるわい。
この「I Want To Love You Tender」がリリースされた1978年当時のフィンランド国内の評価がすごい気になるよね。当時の国内でも「ダサい!」ってなってたんならそれはそれで面白い。
って、コレ言語的には英語で普通じゃない?と思った?じゃあもう1本出しちゃうよ。
「世界一ダサいPV」と双璧を成す〇〇
懐かしのロイツマァァァアア!!!!
すっかり忘れてたかもしれないけど、これ「フィンランド民謡」でっせ。BLEACHの織姫がネギ振り回してた動画の方がおなじみって人もいるかな?
あれスキャット的な歌詞なのかと思ったらちゃんとフィンランド語なんだってね!へー!
フィンランドには変わらずいてほしい
とにかく、掘り下げれば掘り下げるほどクセしか出てこないフィンランド。むしろなんかクセのあるものを見つけたら「おぬしフィンランドでは?」と疑ってしまうぐらい。
この記事を書くにあたって割とネタを削ったんだけどそれでも長いな…
おしまい
フィンランドの隣国、スウェーデンには最強の歌手がいた!